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第18号 2008.12.06

(4)一人でできるヴォイストレーニング

○フォームとしての姿勢づくり

 よい姿勢とは、無理のない自然でリラックスをした姿勢です。
しかし、プロの声はプロの体から出る以上、それを支えるものが必要です。
結果として、次のようになっていることをいずれは確認してください。
これを同時に、すぐにはやれません。発声と姿勢との両立は、感覚や体が
伴わないと無理なのです。共に身につくには、時間がかかるものです。
最近は、胸が開かないのも問題です。

 演劇、ミュージカルやオペラでは、いろんな姿勢で声を使います。
しかし、フォームができてきたら、何でも対応できます。基本が身につくという
ことは、状況が変わってもそれに対応できる応用力がつくということです。
 歌は声の応用、ステージは、歌の応用です。弾き語りでも、ギターと歌は、
最初は別々に練習するでしょう。同時に全てやるのでなく、それぞれの
目的を定めて、個別に対処するのがトレーニングです。この問題は、
基本と応用との違い、習得するためにするトレーニングとそれを自由に
応用するとの違いです。

○脱力、リラックスする

 できるだけ休みを途中に入れ、心身ともに柔軟にすることです。
私は、ヴォイストレーニングとは、声を出すことでなく、声の出る状態を
取り戻し、その条件を確実につくることであると思います。トレーニングの
終わったあとに、声がよく出るようになるくらいが好ましいのです。
喉が痛くなったり、声が出にくくなるトレーニングは困りものです。
これも必ずしもすべてのケースが悪いとはいえませんが、独習なら、
おすすめできません。

※私の述べる状態とは、今の体・感覚の中のベターな声の出せるもの、
条件(づくり)とは、将来の鍛えられた体、磨かれた感覚で、ベストの声
の出せるものです。

○体を柔軟にする

 発声というのは、体全体で行う運動と捉えましょう。
歌は、音楽のなかでも、スポーツや舞踊といった肉体をつかう芸術と
類似しています。そこで体をつかう分野での考え方がうまくあてはまること
が多いのです。そのうち、歌や声と呼吸、体との関係がつかめてくるでしょう。
呼吸や発声のトレーニングは、それ自体が目的でなく、むしろ深い息で
深い声を確実に扱えるように、結びつきを強化、調整することが目的なのです。

○体を鍛えること

 声を出すことや歌うことも体を使うことなので共通する点はあります。
体力や集中力、柔軟な体、勝負強さ、あがらない、リラックスができる、
リズム感、基本の繰り返しの大切さを知っている、状況に応じた瞬間的な
判断ができる、などです。ひとつのことを自分の身につける過程を訓練として
体験してきたということも、有利な条件です。

 性格的に明るく、人前に出たがり屋で、体を動かせるのですから、
スポーツマンのタレント、ヴォーカリストは少なくありません。
しかも、楽器ができなくともよいのですから。音楽性、芸術性に関しては、
なんともいえません。視野が狭く、レール上を走ろうとする一途さが
裏目に出る人もいます。

腹式呼吸の習得は急がないこと

 簡単にいうと、胸の周りに吸気を入れて、肩や胸が盛り上がると、
胸式呼吸といわれます。手をウエストの両わきへあてるのは、チェックですから、
いつもはやらなくてよいです。そのとき、肩、胸が上がったり、力が入ったり
してはいけません。そうなる人は、胸を心もち、あげておきましょう。
お腹の周り全体が外側へふくらむのが感じられますか。

 最初はわかりにくいので、上体を前方へ倒したり、座ったり、寝ころんだり
して、息と体(お腹)との関係をつかむとよいでしょう。実際の呼吸は、
腹式と胸式が組み合わされ、どちらかに切り替えはできません。

 腹式呼吸だけでは声は出ません。腹式呼吸は出ている声を扱うための
方法にすぎません。しかも、腹式呼吸は、誰でもすでに身についているのです。
私たちはふだん、あるいは眠っているときに、無意識のうちに腹式呼吸
行っています。ですから、発声に伴って、腹式呼吸が無意識的にできるように
なる必要があるということで、意識的にトレーニングするのです。

 つまり、腹式呼吸は、それ自体がマスターとか、完成という段階があるのではなく、
使うことへ対応できる程度問題なのです。役者や歌手でも必要度はそれぞれに
違うのです。あがってしまうなどというのも、この腹式呼吸でかなり改善されます。


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<「トレーナーの選択」に関するQ&A>

Q16.トレーニングメニュに間違いはないのでしょうか。

A.確かに、あることに対して間違いという見方もあれば、どれも正しいという
見方もあります。使い方にもよります。10のうちの1つは適用できるが、
あとの9には全くできないということもあります。それでもそのやり方があとで
活きてくることもあります。一方で、誰かのどこかの状態にはそれが有効とも
言い切れないのです。

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