第20号 2008.12.20

○喉をあける方法(欧米式)
 次の順でやってみてください。

1.あごをひく
 ほとんどの人は、あごがまえに出ているので、斜めうしろにひくことです。
胸の位置を少しあげてからひくと、首や喉を圧迫しません。親指であごを
強く押してみてください。この状態で声を出すとよいです。

 耳のまえにあごのちょうつがいがあります。これは、しゃべったりやわらかい
ものを食べるときは、動きません。しかし、大きいものを口をあけてくわえる
ときや、固いものを噛むとき、下あごのつけ根のところは下がります。
あごと舌の余計な動きを抑えるために、エンピツやワリバシをくわえさせる
トレーニングもあります。力が入るときは、あごを左右や前後に動かし、
楽にしましょう。

2.舌は平らにする
 喉がつまる原因の一つに、舌が固くなることがあります。舌根(舌の奥の方)
が盛り上がると、口の中が狭くなり、へんに共鳴した、つめた声となります。
すると、音色も発音も不安定になります。舌が平らになった状態を鏡で
確認して声を出してみましょう。

 ビデオなどで、声楽家の歌っているときの舌の状態をみると、ぺたっと
平らにくっついているのがわかります。舌が平らになって、舌先が下の歯の
裏についている状態に保ちます。このとき、喉仏が下がっています。
強い声を出そうとして力を入れると舌がひっこんで、喉のじゃまをします。
それで、喉仏があがり、喉声になりやすいのです。

 舌は、実際はかなり大きなもので、喉の奥深くまで届いています。
そして喉頭につながっているので、舌を前後に動かすと、喉仏が動きます。
どうしても力が入るなら、一度、舌を口の外へ大きく出して、ひっこめて
みましょう。ろれつがまわらないとか、舌やあごに力が入るなどということは、
舌を回したり裏返してみたりするトレーニングで、ある程度解決できます。
しかし、根本的に直したい人は、そういうところで左右されないように
声を深く使うことをイメージや感覚から変えていくことです。

3.喉のあけ方
 この項目は:『「医師」と「声楽家」が解き明かす 発声のメカニズム』
萩野仁志・後野仁彦(音楽之友社)2004年より引用、一部省略。

 歌謡曲やミュージカルなど、語りと同じ感覚で歌声を出すと、
声が“前歯に当たる”感じになります。喉はやや上がり気味で狭くなります。
下あごは上げ気味になって、浅く平たい印象を与える声が出ます。
口は横に開く感じです。
ロ)「喉を広げて声を出す方法」=欧米人的(イタリア人的)な声

 日本人でも、少ないながらこのような声をふだんから出している人も
います。声が“胸に当たる”もしくは“うなじに当たる”感じで、深みのある、
歌唱では丸い感じの声になります。喉は下がって広くなり、下あごが
下方に開いて首と近づきます。口は縦に開く感じです。

 ついでに、この本では、「従来行なわれてきた『頭から声を出す』
『顔に声を持ってくる』『軟口蓋を上げて声を出す』『頬を上げて笑った
ような顔で声を出す』『重心を前にかける姿勢で歌う』などの常識的に
正しいといわれている方法は、日本人によく見られる、いわゆる喉を
狭くして発声するという習慣が、より強調されてしまう場合があります。」
という指摘もあります。)

○日本語で歌うときの問題☆☆

 今のように、音響加工が加わると通じてしまうので、本当は表現として
成立していないのに、それさえ、わからなくなるのです。
 日本語を深い声で歌おうとすると、かなり意識的に努力することが必要
になります。そこで、やわらかく浮かして、響きでまとめ、マイクを前提にした
歌い方を取り入れてきたわけです。日本語そのものを日本語として
歌いこなすノウハウは、演歌のなかに幾分、含まれています。

 ポピュラーでは、歌詞を工夫して、(感嘆詞やカタカナのことば、英語を
多用など)リズムでこなし歌いやすくしていますが、あまり根本的な解決
にはなっていないように思います。

 そのため、センスのよい人(声を音楽的に扱える人)は声が浅く、パワーや
個性(=音色)に欠けるし、声が深くパワーのある人は、音楽的な扱い
(リズムグルーヴ感、音楽的な構成力)に欠けることが大半です。
前者はミュージシャン型、後者は役者型、両方兼ねそろえた理想の
ヴォーカリストは少ないのです。日本人ラップなどにも、メッセージ重視の
生声と、リズム・音楽重視の浅声に分かれているようにも思えます。

 原語で歌って、歌のなかでのフレーズでの声の動きをとらえた上で、
日本語詞で歌ってみてください。随分と違いがはっきりとわかると思います。
そのギャップを埋めていくつもりでトレーニングをすることです。

 私自身は、日本語で歌うためにはいわゆる日本人の自然なままの
声ではなく、日本語を音楽的言語として深めたところでの音楽的
日本語(しっかりと体から出せる声の上にのっかった日本語)を使って
いかなくては難しいと思っています。外国人ヴォーカリストが日本語の
歌詞をつけて歌ったものを聴いてみると、イントネーションなど、おかしい
ところはありますが、日本語としても充分に、自然に聞こえるのです。
これは、音楽的に日本語をこなすことができるということです。


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☆Q18.なぜトレーニングは長期的で、短期では効果があがらないのですか。
その日によくならないのですか。あるいは、一週間で効果は出ないのですか。
何回、何ヶ月で、確実によくなりますか。

A.これはトレーニングの目的、効果、レベル、そして定義をどのようにとるかと
いうことや、その人の実力、感覚、体(声帯も含む)、学べる力、価値観など
によって、一概にいえません。一言でいうと、誰でも30分でよくなることも、
一日でよくなることも、一週間でよくなることも、やり方もあります。
また、ワンポイントレッスンで、問題が解決する人もいます。
(ここにいらっしゃった人のなかでのこと)

 私は少なくともトレーニングの効果というからには、絶対的な力のつくもの
としてみています。一声で違いがわかるということです。そうでないと比較も
できないでしょう。つまり、体の条件レベルで大きく変わるということです。
仮に、野球でイチローを手本とするなら、彼のようなヒットが一本だけ
偶然に打てるようにするのでなく、そのヒットを確実に生み出す
彼のような体や感覚を得るためにするのが、トレーニングです。
私はトレーニングということは、長期的ということに考えています。

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