第22号 2009.01.10

○声を矯正するには

A.固くてツヤがない声
 声量のある人は、マイクの距離と、音響のヴォリュームで調節し、
声の質を確認してみてください。マイクが遠いと、固く聞こえます。
 ハミングのトレーニング 声帯を合わせ、声の響きをコントロールする
訓練として、ハミングは、よく用いられるようです。
長時間続けても、喉を痛める危険が少ないので、調子の悪いときの調整にも
よく使います。小さく、鼻のつけ根に響きがくるようにしてみてください。
なめらかに、一音一音をつなげていくこと、口は最初は閉じて、
次に少し開いて行なうとよいでしょう。ハミングは人によっては難しいので、
できない人は無理にやらなくてもよいでしょう。ナ行、マ行の音を使いましょう。

<声を柔らかくする> 次の音で練習しましょう。
・ンガンゲンギンゴング ・マメミモメモマモ ・ンマンメンミンモンム

B.低い声
 低い声というのは、高い声に比べて、その人の声帯から体型など、
個人的な資質が、より関係してきます。バイオリンでは、チェロの低く太い音は
出せませんが、人間の場合、簡単に言い切れません。
 低い声が出したくても、それほど必要がなかったり、人に不快を与えるので
あれば、使わないことです。聞いている人にとっては、大して関係ないからです。
 自分が好きだと思っていても、他の声域でやる方が周りに伝えられるならば、
そちらを選ぶべきと私は考えます。そういうことも総合的に判断しなくては
いけません。音響効果も使えます。あなたの生まれもっての楽器としての限界も
ありますが、やってみなくてはわかりません。高い声にシフトして歌いすぎている
ときも、低い声は出にくくなります。
 大体の場合、高音域ばかりで練習していると、低音域で出にくくなり、
低音域ばかりでは高音域は出にくくなります。それを知った上で高音域で無理して、
声の状態を悪くする人が多いので、一時期、低音域でトレーニングするのは
よい方法です。

C.鼻声
 鼻にかかりすぎてことばがはっきりしないのですが。鼻声のようなのですが。
声を若々しく、響きすぎる声を落ち着いた声にしたいのですが。すべての分野の
専門家はいないのですから。すぐに鼻にかかってしまう人は、鼻にあまり抜けない
ように意識してください。

D.体からの声
 個々の音(発音)の訓練よりも、体から一つのことばを一まとまりとして捉えて、
言ってみることで発声をトレーニングすることです。役者のように、体からことばを
一つにして言い切れるというのが基本ということを忘れないでください。
 早口ことばのような練習も、それをふまえた上でなければ効果はありません。
まずは深く響きのある声を出すことの方に重点を置いてトレーニングを行って
ください。
 私は、発声の理にかなった発音を、発音そのものの正確さより優先しています。
発音がいい加減であってよいのではなく、今の課題を片付けてあとで一本化する
ためです。トレーニングは部分的な問題を集中して解決するのですから、
全体のバランスがくずれるものです。そのため、元に戻し調整しなくては
なりません。

E.ことばが聞こえにくい声
 “明瞭な発音”には、唇、あご、舌、喉(声帯)などが、スムーズに連動して
いなければなりません。発音より発声、発声より音の流れを優先することです。
 その中でギリギリ、ことばをのせていくか、最初からことばで言い切って、
それを音の流れでつないでいきましょう。
 口を開けすぎ、動かしすぎて、唇やあごの運動にエネルギーを多く使うと、
ことばにするときに喉、舌の運動にエネルギーや気持ちがまわりません。
 特に歌においては、すべてのことばをはっきりと発音しようとしすぎると、
口がパクパク、音程をとってメロディにつなぐだけで精一杯となります。
そのため、ことばの持ち味や音色、イントネーション、リズム(グルーヴ)を
生かせなくなることが多いようです。本来、音は点でなく線でとり、動かすのです。
 私は、日本語を音楽に使えるようにしていくには、イタリア語あたりの発声から
始めるのもよい方法だと思っています。私は一時、発声を発音に優先する立場を
とっています。

F.キンキン声、金切り声
 自分の声を一方的に高めだと思い込んで喉をしめて出していることが
ほとんどの原因です。
 息も浅く胸式に近い呼吸です。あごが上がるのも悪い点です。
まずは、ことばをしっかりと深く話すことから始めましょう。
低い声の「ハイ」で胸の響きを感じましょう。

G.喉声、かすれ声
 かすれている声、息もれする声は、高音に届きにくく、響きに欠けます。
鼻に抜けて、いつもかぜ気味の声のような人もいます。これは、息がうまく声に
ならないため、無理に喉に力を入れて押し出すときに表れます。
息を浅く短く吐きすぎ、声を出すのに不自然につくっているのです。
裏声にも切り替えにくく、つまってきます。発音は不明瞭で、柔軟性に欠けます。
 トレーニングの初期にもよく見られます。急にたくさんの声を長時間、
使うからです。響きの焦点が合わず、声が広がってしまいます。声立てが雑で、
ぶつけて力で出す人に多くみられます。あごや喉が固く、よくない状態での発声です。

H.小さく細い声
 蚊の泣くような、小さく細い声は、外見的には、あごや首、体格などが
弱々しい人、または、内向的な性格からきていることも多いようです。
大きな声をあまり使わなかったのでしょう。その状態は、マイクの使い方で
カバーするしかありませんが、根本的に変えられるところまで変えたいものです。
体力、集中力づくり、体の柔軟から始めることです。スポーツやダンスに
励みましょう。また、なるべく前方に声を放ってやることを意識しましょう。
声を出す機会を多くとってください。

I.低く太い声
 特に太い声でしっかりと響いている人は、有能ともいえるのです。多くの
一流のヴォーカリストは、カン高い声ではなく、太い魅力的な音色をもちます。
しっかりとその声を前に出すようにしてください。
 声が低いとか声域がないから歌えないというのは、単なる言いわけです。
どのフレーズでも何も伝わらないから歌えないというだけのことです。
それよりは、高い声で声域のある人の方がましで大して変わりはありません。


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☆Q.私のトレーナーは、あまり答えてくれません。
なぜ、トレーナーはすべてを説明しないのですか。(これに似た他のQを含む)

A.本当のことをいうと、わかりやすい説明をするほど、本質から離れてくるもの
なのです。いっぺんにすべてを説明するトレーナーは、まだ未熟か教えたがり屋と
思います。すぐれたトレーナーは、教えるべきときに、教えるべきことを一言で
教えます。
 確かに何でも聞いたことをていねいに対応するトレーナーは親切ですが、
それで人が育つわけではありません。多くは、ことばのやりとりが少ない
レッスンほど、求められるべきことです。
 レッスン時間が、カウンセリングやレッスン生が話したり、トレーナーが
語ったりすることでの満ち足りた時間になっていませんか。
 私の所では、質問はメールで済ませ、レッスンの疑問は、メニュで答える
ようにしています。
 トレーナーの言語能力がないこともあるのかもしれませんが、こうして何でも
質問してくるタイプの人に対して、どうもあまりことばで説明しないほうがよいと
考えているのかもしれません。答えないのも、一つの答えです。答えてわかる
ようなことは答えなくともわかるし、それがわからない人には答えても
わからないのが、芸の世界です。

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