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第26号 2009.02.07

○音楽的にする

 歌唱の表現は、音の流れの中で決まってくるもの(曲)に対し、自分が
何かをみつけ、そこでどう伝えたいかということ(心)でつくっていくもの
だからです。
 歌が一つになるために、全身であらゆる要素を自由自在に使いこなして
描くのです。ヴォイストレーニングとはその自由を声の力で得るためのものと
私は思っています。

 私は聴くときに、3分間すべてを貫く方向性に対し、いくつかの音の大きな
動きとその関係をみます。それはリズムグルーヴで支えられた上で、微妙に
その人独自の呼吸でフェイクし、心地よい揺らぎを持つとともに、要所
(ピークや語尾を中心)に、心に残るニュアンスをおいていくものでなくては
なりません。

 レッスンにおいては、「どう歌えばよいのですか」という問いは、成り立ちません。
それを自分の歌において、問うことに対して、サジェストするのがレッスンです。
つまり、一瞬でも一フレーズでも、人の心に働きかけるものが出たところから、
すべてがスタートするのです。あなたの歌が創造物(アート)であることを
目指すのであれば・・・ですが。
 そもそも詞を歌うのではなく、詞に表れた思いを伝えるのです。
ことばでなく、メロディやリズムや音色、呼吸で、あなたが再構築するのです。
ステージでは即興で、よりよく選び変えるくらいの気持ちでやることです。

○イメージング

 歌とか声というのも、歌や声に何をのせて伝えるかということです。
作詞でも作曲でも全部同じでしょう。だからといって作詞作曲の勉強をする
のではなく、ヴォーカリストが、声の中に、心の音とか、ことばが歌い出したら、
そうなるということです。世界の音楽まで含めて体に宿したら、そのときに
ふっと自分から出てくるメロディがそうなるのです。それが売れるか売れないか
は次の段階です。まず1000曲、いや100曲でもつくれということです。

 ピアノでもヴァイオリンでも、一番根本の基本のところは変わらないのです。
でも楽器の場合は、決められた土俵のうえでやりますから、そこに幼いとき
から住み続けている人の方が有利です。毎日10時間近くの練習は、
楽器を自分の神経につなげるためです。でもヴォーカルの場合は違います。
例外が許されるのです。いや、例外しか許されないのです☆。

○練習のメニュについて

 基本的には、何事も自分が主体的に取り組み、自分で決めていくのが
よいと思います。その練習内容を組み替えたり、よりよくするための基準を
知るために、レッスンなどを使っていくということです。
 多くの人が練習というのは、正しいやり方があるとか、いくつか決まった
やり方であると思っているのですが、そんなことはないのです。
その人の中で、歌のレベルに応じて練習の方法が開発されてこなくては
本当には大して役立たないのです。(とはいえ、明らかに一人よがりの
まったく間違った方向や無意味な“トレーニング”もないわけではありません。
こういう場合は、第三者のアドバイスが必要です。)

 歌がすぐれ、表現力をもっているということは、それを支えるだけの
自分の練習方法をもち、対応ができているということなのです。
その能力を自分でつけていくことです。
 ヴォイストレーニングのメニュも歌のテクニックも、それを参考に
自分のものを作るためにあります。他人のものは本当には使えません。
叩き台として使っていくことです。そのメニュのつくり方を学ぶのです。
私は、ヴォイストレーニングの方法論イコールその人の歌そのものだと
思っています。そうでないヴォイストレーニングなど、いずれは不要だからです。

○毎日できるトレーニングとは

 特に若い人に言っておきたいことは、他人の考えであまり左右されない
でほしいということです。表現を支える基盤とは、あなた自身の生き方、
生きてきたことのパワーの総合力というようなところがあるのです。
 特に歌は、二十歳でも、うまい人はうまいし、五十年、習っていると
いっても、へたな人はへたなのです。だからこそ実力派志向でいくなら、
しっかりとしたトレーニングが求められるのです。呼吸や声のために
よい習慣づけをすることが大切です。

 私は、どこかで、トレーニングに徹底して集中できる二~四年間を
とることを勧めています。それに前後して十年です。そうでないと、
本当の意味で、感覚はともかく体は変わらないからです。
(体<声>づくりの期間に五千時間、音楽を入れるということで、
五千時間の、合計一万時間。でも、日本のヴォーカルに関しては、
それだけの時間は関係ないかもしれません)。それまでに毎日行なうのは、
ブレス(体)のトレーニングと、耳(感覚-音楽)のトレーニングです。

○声を出す時間に注意する

 トレーニングはともかく、それ以外で、喉を無駄に疲れさせないことです。
 1.トレーニングの時間を短くする。 2.一日のトレーニングを分ける。
 3.一つのトレーニングが終わったらその分、休みを入れる。
 トレーニングは、翌日、喉に疲れが残らない状態までがよいと判断してください。


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<今週のQ&A>

☆Q24.なぜ歌い手だけでなく、役者、声優や一般の人も教えられるのですか。

A.元々ここのヴォイトレの方針は、徹底した声づくりの基礎の基礎にあります。
役者や外国人の体、声になってから、歌にも入るということで、1オクターブでの
声そのものを変えることを第一の目的としているからです。つまり、日本人の話
声域(3度~半オクターブ)を外国人並みの話声域(1オクターブ)にすることから
スタートしているため、共通するのです。

 声楽のトレーナーも、結果として、そういう成果をあげていますが、かえって
役者や声優のトレーナーはそこがわかっていません(日本語でしか行なって
きていないからです)。私が共著で出した「英語耳ボイトレ」本は、まさに
外国語教育業界で、著名な英語指導の専門家に認められた結果を述べた本です。

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