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第32号 2009.03.21

○トレーナー間での批判について

 研究所では、私がすべてをやってしまったのなら、意味がないので、
かなりの部分について、どんどん他の人にも任せるようにしてきました。
そのための批判も、甘んじて受けています。
 声楽家にも、ずいぶん会いました。今も毎年、何十人と面接しています。
また現実に、多くの人は、他のトレーナーについてやってきたあとに、
ここに来ています。

 他のところを辞めて、新しくトレーナーにつく人は、当然、自分の判断の
正当化を求めています。少しはわかっていると思えるような新しいトレーナーを
探し、これまでのやり方に納得できないことを確かめにやってきます。
 そこで、トレーナーがその人の不満に安易に合意したら、つまり、一緒に
前のトレーナーのやり方を批判したら、信用を得て、さいさきのよいスタートが
切れます。その方がトレーナーが自分のやり方を押し付けるのには、
やりやすいでしょう。しかし、考えようによっては困ったことです。

 大切なのは、そこでまったくゼロから始めるのでなく、それまでなぜだめ
だったのかの厳しい反省なのです。当人はリセットしようとしている。
トレーナーもその方が楽だから、そうしたがります。しかし、当人はできない
からこそ、トレーナーが指摘するべきです。そこで伸びた人もいたのですから。
それはやり方ではなく、当人の判断の仕方、学び方など、トータルにみて、
どこに問題があるのかということに煮詰めるのです。

 前のところを辞めて次にいくなら、トレーナーや、やり方のせいでなく、
すべては当人の問題として捉えるべきなのです。そうでなければ、最初だけ
よくても、また同じ轍を踏むことになります。習うべきことをマスターせず、
トレーナーを、二転三転としている人は、特に注意することです。

 トレーナーにしたら、必ず自分のやり方や評価の仕方と違うもので、
他のトレーニング法はよくないといいたいのはわかります。
 だからといって、どこでも学ぶべきものはあり、学ぶ力をつけることこそが、
もっとも大切な能力です。学んだことより学ぶ力をつけることこそが、
役割だからです。
 概して辞めた人がいうことは、必ずしも信用なりません。なぜなら、そこで
うまく吸収して伸びた人もいただろうに、それができなかった人だからです。

 やってきた経験が本当にどう生かされるかというのは、どんなことも、
あとにならなくてはわかりません。表向き間違いのようでも、必ずしも長い
人生においては、すぐに否定できません。(ベテラントレーナーの勘違いも
同じです)人生には何一つ無駄がないのです。
というより、その時間とお金を無駄にしないでください。

 むしろ、何事であれ、一所懸命やる、そして次の場でも、今まで一所懸命
やったものをどう生かせるのかの方が大切です。そうしないと、何でも無駄に
なります。安いから、自分にわかりやすいから、そこがよいとは限りません。
何事も生かすも殺すも自分次第なのです。

 私などからみると、辞めた人がいうことを一方的に信じるトレーナーは、
人生の勉強不足です。ただ多くは、自らの生計のために、生徒が欲しいから
誰でも迎合します。生徒の先生になりたいからです。それに気づかない人は、
生徒としてトレーナーに隷属したいのでしょうか。
トレーナーでなく、アートに仕えるべきではありませんか。

 気分よくやれることと、実力のつくことは、全く違います。
 トレーナーのせいにしている限り、あなたは、甘く、優しいトレーナーを
見つけて、そこでほめられ、結果、自己満足に終わります。
 これは、あと何年かたてば、世の中で自分が少しも声の力でもって、
やれるようになっていかないという事実で、わかるはずです。
あるいは、トレーナーと慣れ親しんで、そういう判断さえしなくなるでしょうか。
もしくは、それまでにやめてしまっているでしょう。

  やめた人より、やれた人。
  入った人より、続けている人。
  やっている人より、その実力。

 とにかく、プロをめざすのなら、100人どころか1000人で1人しかやれて
いかない世界に、たぶんその他99%でしかない自分や、そうであった人の考えを、
もち込まないことです。それが、あなたが、そのなかですぐれた1パーセントに
なるために、もっとも改めるべきこと、何よりも大切な考え方なのです。


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<今週のQ&A>

Q29.私のついているトレーナーは、どうも頼りないので、
やめようかと思うのですが。新しいトレーナーのところで歌ったところ、
個性的だとほめられました。

A.前についていたトレーナーを批判するようなことは、私はやりません。
 ここでも長く多くのトレーナーと一緒にやってきました。トレーナーのやり方も、
相手との相性などがあり、簡単に判断できない問題があるからです。
人としてよい人でも、トレーナーとして人が育てられない、大してよくならない
のにうまくなったと勘違いさせる、カウンセラー、セラピストタイプのトレーナーは、
人気があるのですが、必ずしもよいとはいえません。

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