第49号 2009.08.08

○あなたのヴォイストレーニングの目的は何か

 ヴォイストレーニングは、何よりも目的を決めていかなくてはいけないということです。
それによって、トレーナーをどう選ぶか、トレーナーに何を望むかも全く違ってきます。
 私がみるに、トレーナーや方法とのミスマッチがあまりに多いし、
内容についても、目的にそっていないことが、ほとんどといってもよいくらいです。
それで目的とする効果が出る方がおかしいでしょう。

 たとえば、ヴォーカルの場合、目的……プロになること、効果……声域・声量がつく
こと、歌がうまくなることとした。これをよく考えてください。
果たして、この目的に対して、目指すべき効果がこれでよいのでしょうか。
 はっきりいうと、この効果は目的にさほど必要なことではありません。
これが初心者のうちは、わからないことです。
 あなたが初心者なら、歌も声もわからなくてもよいでしょう。
しかし、声や歌はわからなくとも、自分の目的の設定を間違えてはいけません。
そのためにトレーナーがいるのです。しかし、多くのケースでは、トレーナーが
気付かずに間違わせてしまっているのですから、始末が悪いのです。

○トレーナーが勘違いしやすい理由

 トレーナーをやらせていくと、トレーナーとしては育ちます。
ただ、そこでしか通用しないのに、歌の力がついたと勘違いする人もいます。
その実績で歌手としても通用するとまで思うのです。
 一般的には、トレーナーの元に歌を習いにくるのは、そのトレーナーより
歌が下手な人ばかりです。ですから、少し長くやった人なら、適当に先生として
通じてしまうのです。しかし、本当にトレーナーとしての力があるのなら、その技量は、
自分よりうまい人、すぐれた人、プロとして長年やってきた人にも通用しなくては
おかしいといえるのです。イチローや松井のトレーナーは、彼らに打撃面では勝ることは
ありません。しかし、彼らが頼るほどの的確なアドバイスができます。
 つまり、アマチュア相手の経験しかないトレーナーは、お金をとっていても、
プロのトレーナーとはいい難いのです。プロに頼りにされてこそ、専門職は成り立ちます。
これは、ヴォーカリストも同じです。

 ただ日本では、
1.長くやっている
2.海外でやった
3.偉い人についた
4.知名度がある

 そのくらいで、お客さんはわからなくなるのです。肩書きだけでも過大評価します。
1.学会への所属
2.他の権威の利用(特にアメリカとか海外の人や学校)
3.有名人の名の利用
 多くの人は、権威をたてにして仕事を得ているだけなのです。

 英語がぺらぺらにしゃべれる外国人が、日本人にとってすぐれた教師とは限りません。
同様に、一流のスポーツ選手が、高校生に教えるのにもっとも適任とは限りません。
もちろん、精神面などに高次のアドバイスはできるでしょう。
歌の場合、それはヴォーカルアドバイザーとすべきです。

○トレーナーにつくということ

 ヴォーカルに譜面を読む力はいりません。ただし、それが人並みにできなければ、
そこから入るのもよいでしょう。
 この世界、10代で芽が出なければ、かなり遅いのです。そこまで生きていて
他人よりうまくないなら、よほどの奇跡を起こさなければ、役者などと違い、
ヴォーカルとして食べていくことは不可能と、知ることも必要です。
 これは、これから、やろうとする人を絶望させるためではありません。
他の分野なら絶望的なことを、学校へ行ったり、トレーナーについたくらいで
プロになれるなど、甘くみるなということです。

 つまり、奇跡を起こすトレーニングを目指さなくてはいけないのです。
 たとえば、
  ・○オクターブ出るようになります。
  ・高い声を出せるようになります。
 こんなことは、上達やプロへの道に全く関係ありません。よほど気をつけないと、
欠点をフォロー(ごまかす)だけのレッスンになりかねません。
  ・誰でも一流に育てます。
  ・やさしく指導します。
  ・楽しみながら上達しましょう。
 というようなセールストークは、少なくとも、本物志向の人は度外視すべきでしょう。

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