第54号 2009.09.26

○トレーニングでのコントロール

 長期的にみなくてはいけないものを早くあるレベルにまで高めるということ
には、無理が伴わない方がおかしいのです。たとえば、トレーニングを
行なうと腹筋やブレスは半年でも相当強くなります。そうでなくては、
プロの体にはなっていかないから、そうせざるをえないのです。
しかし、それをコントロールする技術はすぐには伴いません。

 そんなときに、高音でトレーニングをしたら、そのへんで自己流の
トレーニングをしている人のやり方に輪をかけたくらい、のどをこわしてしまう
ことにもなりかねません。これでは、意味がありません。
 強い武器はそれを手に入れることよりも、その使い方の方が難しいのです。
ですから、こういう進め方で安全を確保しつつ、理論や説明をつけて
トレーニングの真意がわかるように、いろいろな例を使って述べているのです。
 とにかく、ヴォイストレーニングとは、できないことはやらない。
もっとも適切なメニューだけをこなしていき、歌に使えるよう方向づけていく
ことが大切なのです。

○トレーニングとプロへの道

 努力をしなくてはいけないことは、一流になろうが三流に終わろうが同じこと
なのです。まったくトレーニングをしないで人並み以上になろうなどというのは
言外です。ところが、多くの人が、ヴォイストレーニングをすれば、ヴォーカリスト
になれると思っているようです。

 「トレーニングをすれば、プロになれますか。」
と言って来る人もいます。これはトレーナーの決めることではありません。
本当にそう思い、本当に努力した人にしか、一つのことをものにすることは
できないでしょう。そういう意識をもったときから、どれだけのことをしなくては
いけないのかがわかるのだと思います。
 少なくとも、同じ努力をするのでしたら、効果のあるように努力すべきです。
同じ練習をするのでしたら、練習をした結果、身になる方がよいに決まっています。
その苦労と努力を課題として、明確に与えるのがトレーナーではないでしょうか。

○努力のプロセスを明らかにすること

 ヴォーカリストに関していうならば、どうも、努力をしているのに方向違いであったり、
どれだけのことをしなくてはいけないのかがまったくわからないまま、日々不安に
過ごしているというのが現状のようです。自信と確信のないところでは、
上達することは難しいものです。
 信じることを、信じられるだけやって、ものごとははじめて成就するものだからです。
そのためには、日々やっているトレーニングに、信じられることを納得できるまで
やり続けることが大切ではないでしょうか。

○身になるトレーニングをすること

 私自身の経験と指導経験でつくりあげてきたのが、ブレスヴォイストレーニングです。
教えながら日々いろいろと変化して、今のような形になってきたのです。
まだ日々、進化しております。これが絶対に正しいとも、こういう方法しかないとも
いいませんが、他に頼れるものがないなら、試してみる価値ぐらいはあるように
自負しています。

○アーティストのためのヴォイストレーニング

 アーティストとは、制作者、自分にしかない作品をもつ人です。
つまり、プロとしては売りものをもつ人、CDでもライブでもよいでしょう。
その元となるのが、歌、そして声です。つまり、ヴォイストレーニングは、
アーティストにとって、声を扱う楽器としての基礎勉強であり、演奏活動に
対しては補強トレーニングとなるものです。

 ヴォーカリストは、プロに認められなければプロとしてはやっていけません。
もちろん、ここでは、アマチュアは目的としておきません。誰でもすでに
マチュアではあるからです。
 本当によい作品をつくるなら、ファンもお金もなくては難しいのに、
その現実を逃げている人が、少なくありません。
私は、歌や声にお金を払ってまで、他人のところにいって習うなら、
きちんとものにして、元をとって欲しいと思っています。
つまり、ヴォイストレーニングで成果をあげ、あなたの声で感動させられるように
なって欲しいというのが、私の願いです。それゆえ、本も書いているのです。

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