第55号 2009.10.24

○アマチュアということ

 やれてないのにやれた人をあれこれおとしめるというアマチュアの特権をふりまわし、
自らアマに安じている人も少なくありません。もし声や歌がすぐれているなら、
それこそ自らの道でがんばって欲しいと思うのです。

 日本のプロのレベルは、私は海外に対して恥ずかしいし、才能がない私でさえ
ここまでやっているのに、その先に目を開いている人がいないのは残念なことです。
 そういう人は、ヴォイストレーニングなどバカにして(というよりは、単に食わず嫌い
なのですが)、その結果、日本はレベルが低いのにヴォイストレーニングさえしなくても
ステージで通じて、プロとしてやれてしまうから、さらにレベルがあがらないという、
悪循環になっています。

○本で伝えるということ

 「本書をはじめて読んだ方には正確な意味が伝わらず、間違って行なわれる場合も
あるかとは思います。専門家の皆さんにも、今までの説明とは異なるため誤解される
部分も少なくないかもしれません。しかし、そのときはこう考えてください。

 本書のヴォイストレーニングは、一般的な部分でのみ述べたものであり、
すべてではありません。私は、本にはそれだけを使ってトレーニングを行なう人が
出ることを前提に書かなくてはいけないので、気を使っています。
あまり具体的ノウハウを述べず、トレーニングに必要な根本的な考え方や
イメージづくりの方を中心に進めているのも、そのことの方がトレーニング上、
有益だと思うからです。

 やっていることよりも、それをどういうつもりで何のためにやるかということの方が
大切だからです。具体的な方法は、それがわかっていれば、どんなことをやろうと
効果が出るからです。」

 「会ったことがなく、本だけを頼りに行なう人には、胸声、特に低い声の方から
つくっていくこと、言葉を中心にフレーズづくり、そして歌の発声へと、順を踏ませています。
 なぜなら、どんな楽器をもっているかわからない人に対しては、何よりもトレーニングの
中に危険なことは避けなくてはいけないからです。
 ヴォイストレーニングで、のどを締めたり、のどをこわす危険のあることは、徹底して
取り除かなくてはいけません。ある人にはとても有効なトレーニングでも、他の誰かには
危険のあるものは、ここに書くわけにはいかないのです。(質問にも答えられないのは、
一般的な答えは必ずしも個別に当てはまらないからです。)」

 「ですから、皆さんは、私の本は、特に一般的に安全にトレーニングをやっていくために
書かれたということは知っておいてください。トレーニングの方法など抜きにして、
多くのヴォーカリストがしぜんに歩んだ方法を、忠実になぞっていることも忘れて欲しく
ありません。このヴォイストレーニングが本を通じて公にできるのはこのおかげなのです。
そして、これこそが、誰にでも確実に効果をあげられる理由の一つといえるわけです。」


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<今月のQ&A>

Q46.生徒が変るたびに、その生徒の個性を引き出す歌い方を、指導するのは
至難の技と思いますが、指導される側(生徒)として、この歌い方で自分のよさが
表現できるのだろうか、と疑問を感じたときに、どう対応すればよいのでしょうか。

A.思いきって自分のよさを表現してみてください。そこでできないときは、
ともかくも指導のもとでやってみることでしょう。ただし、それが妥当とは限りません。


Q47.疑問を感じることが多いということは、先生との相性が悪いということなので
しょうか。それとも、自分の未熟さが、そう感じさせるのでしょうか。

A.疑問を感じることは悪いことではありません。その問いがあってこそのレッスンです。
しかし、不審を感じるなら、合っていない場合もあります。どちらも客観的にみないと
わかりかねます。

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