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第64号 2010.02.27 ○繰り返し

○繰り返し

戦うための武器は、いろいろとあります。それを全てつけて武装したら、きっと負けるでしょう。
まずは、自由自在に使える一つの武器を、きちんと習得することからです。自分には、どんな武器があるのか、どんな武器が向いているのか、これを探るためにいろんな武器を
手にとるのはよいのですが、それは全てを身につけようとして、中途半端になることではありません。

 即興的、応用で気をつけなくてはいけないのは、必ず自らを客観視して、反省して、どうすればよりよかったのかを考えることです。それをアテンダンスシート(研究所のレッスン後の提出レポート)に書きます。つまり、本当の目的はこちらにあるのです。
 私が、合宿では、準備、本番、反省と、3つの勝負があるといっていました。
レッスンでも同じです。
 自分のやろうと思ったこと(イメージ)と、やったことを比べること、さらにそのイメージ自体の上をイメージしていくこと。この繰り返しによって少しずつ、自らを向上させていくことができるのです。

○人に就くということ
 
 トレーナーがいったからでなく、自分がどう感じたが、そこからトレーナーのいったことを考えたり、感じかえていかなくては、何にもなりません。つまり、トレーナーのいったことが
今できないのなら、今、やろうとしないで、それができていく方向へセッティングしていくということなのです。
 自分で決めつけると、大体は今の自分の(上からみると)鈍にあいまい、いい加減な感覚と使い方に甘んずることとなります。

 だから、人に就くのです。集中力、体力、テンションなどをその場で高めることで、一瞬でも深く感じられるように、感じ方を変えられるようにするのです。
 歌を習っていなくてもうまい人は、大して鍛えなくとも、このあたりのレベルまではこなせているわけですから、その先へいくには、より厳しく、しかし自由にしていかなくてはならないのです。
 しぜんにうまい人の弱点は、他人に合わせるのが器用で、そこで認められるゆえに、自分のものに戻らず、素通りしてしまうことです。
 こういう人は、一流のアーティストの感覚から、いかに自らが鈍いかを自覚しない限り、
さらなる飛躍は絶望的です。(歌のうまいトレーナーは大体、ここまででとどまっています。
教えるのがうまいトレーナーは、大体ものまねが器用で、レパートリー多数でとどまっています。)

 トレーナーやまわりの人の意見をすべて聞いてしまうような人は、その意見の弱さの克服からが、第一の課題です。本人が自覚した上で、役柄、ヴォーカルならまさに自分自身で、接点を強くつけていかないと、その人らしさは表われません。ただ、そこにいるだけというのも、人の世界ではよい人ですが、いろんな制限のある舞台では、いらないのです。
それは性格だけでなく、日頃の生き方からも、出てくるのです。

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<今月のQ&A>

Q64.声帯で将来性は判断できるのですか。

A.一つの条件にはなりますが、その使い方においてはまったく決め手になりません。
すぐれた歌手には、声帯のよしあしよりも、むしろ、それを扱う筋肉や呼吸の扱いが大きいでしょう。
一流の歌い手の中には、喫煙やその他の原因、あるいは先天的に美しい声やよい声を出しにくい声帯なのに、使い方でフォローしている人も少なくないのです。

Q65.声のよしあしはどこで決まりますか。

A.素材としてはその人のもつ声帯とその周辺の構造、さらにその共鳴力といえますが、その使い方やイメージによるところも大きいです。