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第76号 2010.08.28

Q.ブレスヴォイストレーニングで声を壊すことはないのですか。

A.どんなトレーニングでも、いやトレーニングをしなくても、のどの状態を損ねる危険はあります。(声を壊すというのは定義しにくいので)たとえば、日常でも過度にのどを使う、ホコリの多いところで声を出すなどということで、のどを痛めます。カラオケや歌いすぎや飲酒での騒ぎすぎでも同じです。
 どんなヴォイストレーニングでもやりすぎるとのどによくありません。どんなトレーニングでも、時間の長さ、休息の少なさ、健康心身状態などによっては、のどを悪くするので、場合によっては、やらない方がよいときもあります。

 のどそのものがよくない(A)、のどの状態がよくない(B)、こういう場合もトレーニングをできるかどうかを見極めなくてはなりません。
 私共のところにも(A)(B)の人、主に他のレッスン(特に役者や声優のスクールや個人レッスン)で声を痛めている人がよくいらっしゃいます。そういうときは、何事も無理は禁物、休めることが第一、それを踏まえて慎重に対処します(音声医の紹介を優先することもあります)。個人差もありますし、体調やのどの調子にもよります。ともかく発声は少なめに、のどを休めることが急務です。
 同じように(同じ年月、同じところで、同じ方法で)一所懸命トレーニングした人でも、一方はとても上達し、一方はのどを壊すということもあります。のどには大きな個人差があるので、自分の限界を知り、やりすぎないことと、途中に充分な休憩を入れることが大切です。

 本を読んでトレーニングすることで、声を壊す人の多くは、続けて長くやりすぎ、次にトレーニング方法(イメージも含め)の誤解によることが多いです。それらは最速で最大の効果を求めることから生じます。大声、高い声で、声が出にくくなったら、それは注意信号なのです。
 トレーナーがつくと、そのリスクを避けることを最大限考慮します。ですから、私共では、危険なときは休ませたり、レッスンを中断し、カウンセリングなどをします。
 しかし、レッスンというのは、一年365日、つきっきりで行えるわけではありません。ですから、365日自己責任による管理も必要です。(今の研究所では、のどや発声について、毎日メールでのどの管理に関するアドバイスを求められるようにしています。)

 研究所では、以前はすべてグループレッスンだったので、とても熱心でそれゆえに声を壊した人もいたのです。そのために今は一人ひとりに目が行き届く、個人レッスンにすべて切り替えました。
 原因は、次のようなものです。
1.一日に限度を超えて声を出した
2.休めるなど、体調やトレーニング時間での配分を考えなかった
3.方法を誤用した
4.自分の合わない方法やイメージを用いた
5.方法ややり方自体が間違っていた

 悩まれている人やトレーナーもいると思いますので、それぞれについて、アドバイスしましょう。
 5に関しては、劇団などの大声発声練習は、声楽やポップストレーナーの立場からすると、ほとんどが全否定すべきものですが、私はそこにも一理あるのと、人によって効果も違うということで、現場と相手をみずには否定していません。
 一流の役者がそれを求め、そこで確かに声が鍛えられた実績のあるもの、つまり、そういう人がそれで身についたと思い、そういう指導もしているところに、第三者として介入できるものでもないからです(そこで合わなくてここに来る人もいます)。同様に、私のブレスヴォイストレーニングも単純に肯定や否定されても困ります。

 4について、特定の人ですが、本人の感覚、もしくはトレーナー、声楽家の判断や理論を元に、ブレスヴォイストレーニングが間違っているなどという人もいます。これも本来は、「自分には合わなかった」「自分でうまく取り込めなかった」と正しく言うべきです。厳密には、「自分は効果をあげるように使えなかった」ということです。でも、そうであるかどうかさえ、決定はできません。
 まして、他のトレーナーがそのように教えなかったり、それを否定したからといって、私本人にも会って継続的なトレーニングをしてもいないのに、それを根拠にするのはあまりにも一方的です。
 私のところでは、8つの音楽大学で指導を受けた声楽家たちが共存しています。これもそんな偏狭な考えでは、共同研究などできません。(私は、日本や海外から発声に関するあらゆる本やCDを集め、学ばせていただいています)
 事実、その偏狭さのために音大では、まっとうな人材は育たなくなって久しいのです。小さくまとまったうまい人ばかりになったのですが、まっとうな大スターは不在ということです。確かに間違っていない、それゆえ、うまいけど面白くともすごくもない人ばかりになったのです。まさに日本のJ-POPSや歌謡界、ミュージカル界と似ています(これは海外のステージ、ブロードウェイやオペラを一見すればわかることなので、言及はしません)。

 3.ブレスヴォイストレーニングの方法の誤用は、本やレッスン(特に私以外の)においても、(グループのときは特に)頭の痛い問題でした。私のは、日本人のベースの声のなさにまでさかのぼって、あたりまえのことがあたりまえになっていないことにまで、原点をとっているのですから。もちろんなかには、その必要性のない人もいます。そのため、私は今もですが、必ずレクチャーをして、レッスンを引き受けていたのです。
 最初は基礎2年間を必修として受け付けていました。やがて、グループで基礎をマスターさせるには、個人差が大きすぎ、しかも声だけの育成の場があまりに音楽性のなさと、早く作品から入れていく必要が生じたため、発表やライブの場を与えつつ、日本人離れした秀れた音楽的感覚を習得させる方が優先されました。ですから、私が声づくりを受け持った人は、かなり限られたはずで、大半はグループでの音楽的感覚、フレーズ感のコピーレッスンがメインでした。
 次に、私はプロデューサー的感覚から、声よりも歌について、判断せざるをえなくなってきました。90年代以降、歌と音楽の傾向が変わってきて、アレンジ面でのトータルサウンド的な作品、つまり、声のオリジナリティが、体からの肉声での表現でなく、歌手としての高い声での歌唱中心になってきたことが大きいです。
 1,2については、まず私のブレスヴォイストレーニングの基本マニュアルであった、シンコーミュージックの基本講座、実践講座初版後の、15年間における注意を細かく加え、大幅に増補して出しましたので、読んでください。

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