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第80号 2011.01.29 ○やり方だけを教えるトレーナー

○やり方だけを教えるトレーナー

声は内在しています。楽器として体のなかにあるということと共に、あなたの感覚・イメージ・意志と一緒に使われてきています。つまり、すでに表現のツールとして個性もくせももった声で演じられているのです。ですから、全く新しい声を習得したりつくったりするのではありません。よい面も悪い面も含めて、あなたの声の素材としての可能性と、使い方の可能性と両方を追求しトレーニングで変えていくのです。そのうちすでに、今ある声でかなりの部分は、実現されているのです。
ですから声の実力としては、使ってきた人ほど有利で使ってきていない人ほど不利ですが、トレーニングでの実力アップの度合いとして、使ってきた人ほど、よほどのことでないと大きく変われる可能性は少なく、使ってきていない人は少しでもやることによって好転する可能性(少しやっている人並レベルですが)は大きいのです。声楽家や役者、私のヴォイトレなどは前者、ふつうのヴォイトレは、後者(初心者)をターゲットにしています。
一言でいうと、初心者は状態や使い方でも大きく変わります。しかし、プロレベルの人は、初期条件である体、感覚を根本的に変えなくては大して変わりようがないのです。(これもアメリカなど海外や外国人の有名なトレーナーのトレーニングとなると、生徒となる相手が日本人のプロレベル以上に基本が身についているために、使い方、テクニックが主になります。それゆえ一見、日本人にもすぐにあてはまるように思えるのは、大きな錯覚であり、誤解です。
実際には、初心者に(日本はプロやトレーナーでも初心者に近い)応用プレーを教えて、本人たちにスキルを習得したつもりにさせているだけです。まさにフレンドリーなプロテクニックです。

つまり、次のような5パターンに考えてみるとよいでしょう。

初心者    A小さな器 a)状態と使い方 一般ヴォイトレ
         A小さな器 b)条件と鍛錬  声楽
日本のプロ  A小さな器 b)条件と鍛錬  ここのヴォイトレ
          B大きな器 b)条件と鍛錬  プロのアドバイ
欧米のプロ  B大きな器 a)だけでよい  欧米のヴォイトレ

この場合、器とは、声域、声量についてもですが、最終的にはプロの音色(体、呼吸、発声)とコントロール力ということです。使い方というのは、歌においては音楽的処理となります。

もちろん、単純にこの5パターンに分けられるものではなく、一人ひとり、けっこう違います。しかし、こういうことを知っておくのは、ハイレベルをめざす人や渡欧(米)を考えている人には、とても有意義でしょう。
いくら欧米にいってヴォイストレーナーからテクニックを覚えたとしても、ほとんどの日本人は、声が大して変わっていないのは、Aのa)、つまり向こうでの初心者(一般ヴォイトレ)扱いとなっているからです。あなた自身が声を聞いて比べてみればよくわかることです。何回かだけなのに本場でほめられて自信を得てきただけなのです。それを売りにする人は、歌手にならない(なれない)し、声も大して普通の人と変わらないでしょう。そこがおかしいと思いませんか。